長野県飯田市に中間駅が設置される「リニア中央新幹線」について、JR東海は、国の専門家の会議で、目指してきた2027年の開業を断念する方針を明らかにしました。
リニア中央新幹線は、飯田市にも中間駅が設置される計画で、東京・品川と名古屋を結ぶ区間の2027年の開業を目指していました。しかし、静岡県が環境に対する影響が懸念されるなどとして着工を認めていないため、JR東海は、去年12月に、開業時期を「2027年以降」に修正していました。
静岡県の反対で工事には、更に10年はかかるとしていて、仮に今すぐ着工できたとしても開業は2034年以降になる計算で、残念です。
JR東海がリニア中央新幹線の2027年の開業を断念する方針を示したことに対して中間駅が建設される飯田市長は、開業までに少なくても10年はかかるということで、飯田市が進めている飯田市座光寺地区の駅周辺の整備について、リニアに伴うまちづくりを再検討する必要も出てくるという考えを示しました。
長野県リニア整備推進局によりますと、長野県内を走るのは東京・品川から名古屋までの285キロ余りの区間のうち2割近くの52キロ余りあるです。
このリニア中央新幹線ルートは、静岡県から南アルプスの下をトンネルで通り、長野県内の6つの市町村や中央アルプスを経て、岐阜県中津川市に抜けるもので、9割以上はトンネルです。
長野県の6つの市町村では、県などが用地取得を進め、一昨年から始まった飯田市での長野駅仮称の建設や、トンネルの掘削などが当初開業を予定していた2027年度の前の、2026年度末に終える予定で進められてきたのでした。
長野県は、開業の効果を地域振興に生かそうと、新たな駅の周辺のアクセス向上のために道路の整備を進めているほか、駅近郊の下伊那地域北部の土地を市町村の枠を越えて広域的に利用する計画で、費用1400万円余りを新年度予算に計上しています。
6月には静岡県知事が、辞職します。リニア中央新幹線の開業に遅れが出たのは、知事の反対の影響です。
環境破壊、水流変化など静岡県だけが影響を受ける訳ではありません。
他県でもいろいろな問題があります。残土処理、交通環境、工事に伴う騒音、作業事故など静岡県ばかりではないのです。
リニア中央新幹線の名古屋市と愛知県春日井市の2つの工区で、トンネル工事による周辺への影響を調べる「調査掘進」始めています。トンネルを掘削するシールドマシンを使い、深さ40メートル以上の「大深度地下」を掘る。愛知県内では初めてのシールドトンネル工事になります。
工事を始めたのは春日井市内の約10.1キロメートル区間「第一中京圏トンネル(坂下西工区)」と、名古屋市から春日井市までの「第一中京圏トンネル(名城工区)」の一部です。いずれも、2025年春ごろに本格的な掘削に移り、施工期間は26年3月までです。
春日井市「坂下西工区」の調査掘進の開始は想定より遅れ、調査掘進に必要な非常口内のコンクリート壁の切削を22年7月に始めましたが、壁が想定より固く、他工区では長くても2カ月程度で終わる工事が24年2月までかかっています。シールドマシンの壁を削る部品を交換しながら切り進める必要があるので時間を要します。
工事の遅れは、非常に残念なことと受け止めています。名古屋駅周辺や、春日井市の坂下地区、岐阜県中津川、飯田市など着実に工事が進めら、早期に静岡工区も着工することを望みます。
写真提供:JR東海シールド工法現場
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