伊那市高遠に、古い蔵を活用した「そば博物館」が、9月1日オープンしました。
江戸時代に使われていたそば道具の展示など、そばの歴史や魅力を発信する新たな拠点が、伊那市にオープンするのを前に内覧会が開かれました。
伊那市の古い蔵を活用してオープンする「そば博物館」は、そばの歴史や魅力を発信しようと地元のそば店やそばの原料となるそばの実を生産している人などで作るグループが新たに設けました。
同博物館には、江戸時代からそば粉を生産する際に使われていた石臼やそば切り包丁、それに、国内外で生産されたさまざまな種類のそばの実などおよそ2000点が展示されています。
博物館では、研究者や地元のそば店の店主らがそばに関心のある人を対象にそばの品種や歴史、それに、打ち方などを伝えるイベントなども開きたいとしています。
博物館の代表は、「世界ではなかなかない博物館なので、古い道具や資料などを見てそばの魅力を知ってほしい」と話していました。
江戸時代に全国で活躍した石材加工集団「高遠石工」が現在の東京都あきる野市で製造した石臼をはじめ、江戸時代からのそば猪口(ちょこ)、研究者が国内外で収集したソバの種、世界のソバ加工道具など、約2千点を展示しています。
ソバ栽培の起源について解説したパネルなどもあります。
今後は、そば博物館を活用して、そば職人を志す人に向けた「高遠そば大学」を開講予定です。
同発祥の地を宣言した伊那市ですが、知名度不足を課題と捉えた「信州そば発祥の地 伊那そば振興会」など関係団体によるチームが開館に向け準備してきました。
9月22、23日には発祥の地のルーツを解説する高遠そば大学が開講します。
拠点となる博物館から魅力を発信し、伊那市高遠では、桜に頼らない通年観光の実現を図っていく考えです。
9月2日の舞台は、長野県伊那市の南部に位置する高遠町。信州の名物「高遠そば」に魅了され、脱サラして蕎麦職人になった岸野靖典さん(46歳)と支える妻・知子さん(48歳)が主人公です。
大阪府豊中市出身で機械メーカーに勤務していた靖典さん。神戸市出身の知子さんと2010年に結婚し、娘の心音さんが誕生しました。蕎麦打ちの経験が一度もなかった靖典さんに‶運命の扉〟が開いたのは39歳の時です。
知子さんには高遠町で蕎麦店を営む実兄がおり、家族旅行で立ち寄りました。そこで「高遠そば」を食べた靖典さんは、あまりの美味しさに衝撃を受けます。「麺のうまさ、焼き味噌と辛み大根を使った独特な汁が忘れられない!」。その後、自分で蕎麦打ちに挑戦するも、短くてバラバラ、粉っぽくて、食べられたものではありませんでした。靖典さんは「高遠そば」の味を再現させたいと、どっぷり蕎麦の世界にのめり込んでいきます。そして義兄の誘いや知子さんの後押しもあり、40歳の時に高遠町に家族で移住します。
蕎麦打ち、汁作り、仕入れ先、経営ノウハウなどをアルバイトをしながら学んでいきました。そして1年間の修業を経て、共同シェアキッチンでランチの蕎麦店を開き3年間営業します。その間に知り合いや仲間が増え、店舗用に築89年の古民家を購入し改築。仲間も手伝ってくれ、2021年4月に念願だった高遠そばのお店『蕎麦きし野』をオープンしました。
店の開業まで少し遠回りをしたけれど、その選択は決して間違っていなかったと胸を張る夫婦。高遠そばに惚れ込み蕎麦職人の道を選んだ靖典さんと、夫の夢をバシッと背中を叩いて応援する知子さん、家族や地域の人たちの温かい交流を紹介します。
定休日/月曜·火曜
営業時間/11時~15時 (14時LO)
商品がなくなり次第、終了します。
~高遠城址に来たら立ち寄りたい
絶品お蕎麦屋さん~
高遠城址公園の裏手にお店を構える
写真提供:蕎麦きし野さん
@soba_kishino
「水車家」
〒399-4601
長野県上伊那郡箕輪町大字中箕輪大出2931
TEL:0265-79-9841
【営業時間】
11:00~19:00頃
【定休日】
毎週水曜日(祝日の場合は営業)
中央自動車道「伊北」ICから車で約3分