りんごの「かわ」と聞いたら、普通は「皮」を思い浮かべます。しかし、まぎれもないリンゴの「革」なんです。その名も「りんごレザー」と呼びます。
長野県飯綱町や長野県工業技術総合センター材料部門、工業技術総合センター食品部門、信州大学繊維学部などが協力し、長野県内の粉砕加工業者とも連携しながら、りんごの搾りかすを粉末化します。
これがリンゴレザーの実用化のめどが立って、2022年6月にはSORENAと長野県飯綱町、共和レザーで「りんごレザー共同開発契約」が締結しました。
素材の一部には信州特産のりんご、それも搾りかすが使われています。このような革は「ヴィーガンレザー」と呼ばれています。
リンゴの搾りかすを革の材料にするには、いくつかの工程を踏まなければなりません。まずは乾燥機に丸2日ほど入れて水分を完全に抜きます。続いて粉砕機にかけてりんごの皮を粉々に砕きます。
この粉はこのあと、専門業者によってさらに細かく砕かれます。そして、県外の企業でウレタンなどと混ぜ合わせて加工されて、ようやく「りんごレザー」が完成します。
長野県飯綱町がりんごの粉末製造の部分を担当し、共和レザーが生地を製造して、SORENAが商品企画と販売(小売りや卸売り)を手がけています。
飯綱町は人口およそ1万の小さな町ですが、全国のりんご生産量の1%余りのシェアを占めています。
ベンチャー企業のSORENA(ソレナ、長野市)や長野県飯綱町、共和レザー(静岡県浜松市)の3者は、りんごジュースやシードル(りんご酒)づくりの過程で生じた、りんごの搾りかすを粉末にして原料にする合成皮革「りんごレザー」をこのように開発したのです。
日本で合成皮革「りんごレザー」を製造・販売するケースは今回が初めてです。
長野県でも、りんごレザーの地域ブランド化を推進して、地域のモデルにしたいのは愛媛県の今治タオルの様な、信州においても多くの職人や企業を巻き込んで、色々な「りんごレザー製品」を生み出していって欲しいものです。