飯田市美術博物館で特別展「城下町飯田と飯田藩」が開幕しました。
見所のひとつは、9月に県宝に指定された「信濃国飯田城絵図」。このほか、各地に散逸した飯田藩ゆかりの宝物類約90点も展示されています。会期は11月6日まで。
飯田城は、戦国時代末期から伊那谷南部の拠点で、飯田下伊那地域では江戸時代まで残った唯一の城でした。特別展は、今年が城下町の基礎を築いた京極高知(きょうごく・たかとも)の没後400年と、堀親昌(ほり・ちかまさ)が藩主として飯田藩に入って350年の節目ということで、飯田市美術博物館が企画しました。
「信濃国飯田城絵図」は縦253㌢、横301㌢のの大きさです。江戸初期の飯田藩主、脇坂安政(わきさか・やすまさ)の時代に作られ、堀氏へ引き継がれた飯田城の最古の絵図とされています。
1648年(慶安元年)に伊那街道沿いに造られた桜町(現在のJR飯田線桜町駅一帯)まで含めて、城下町全体が描かれています。
脇坂氏は1672年(寛文12年)に播磨国龍野(兵庫県たつの市)へ転封となり、城を引き継いだ堀氏が家臣団の武家屋敷の配置のために絵図を使用したと推定されています。
飯田市ではこれまでにも、飯田城を囲む堀の跡などの見学会が開かれています。10月2日(日)に城下町見学会も予定されています。織田顕行学芸員は、今回の特別展をきっかけに飯田城の痕跡を訪ね歩いてほしいと話しています。
ちなみに筆者の実家(飯田市駅前)の地下には飯田城の外堀のような石垣が残っています。ただ、古地図などをみると江戸時代の外堀のルートからわずかに外れているようにもみえます。明治以降の家の基礎工事の石組みなのか、それとも外堀の新たな遺構なのか?
今後、詳しく調べないとわかりませんが、飯田城へのロマンが広がってきました。
美術博物館の入場料は大人500円、高校生300円、小中学生200円。
月曜休館(祝日の場合はその翌日)。
(取材記事:名古屋長野県人会 広報文化委員会 西村公秀氏)
※絵図は下伊那教育会所属。写真は、飯田市美術博物館提供。