大鹿歌舞伎は300余年前から、大鹿村の各集落の神社の前宮として舞台で演じられ、今日まで伝承されてきました。
歴史の変遷の中で、江戸時代から明治時代には、歌舞伎上演の禁令は厳しく、その弾圧をかいくぐりながら、村人の暮らしの大事な核として脈々と受け継がれてきました。
大鹿歌舞伎の上演が無かったのは、終戦の年などわずかであったことを考えると、大鹿村の地芝居は隔絶された立地条件とめまぐるしい社会変化の中で生きてきた村の人々の心の拠り所であり、祈りに似たものであったといえます。
長野県大鹿村で江戸中期から続く「大鹿歌舞伎」を継承する方がいます。
愛知県岡崎市出身の石川かおりさんが、役者であり祖父でもある片桐さんから手ほどきを受けて、大鹿歌舞伎の伝統を継承しています。
石川さんは、現在 長野県飯田市へ移住して2年になります。
300年の歴史ある伝統芸能にやりがいを感じるといいます。
中日新聞「この人」(2022.09.23)で紹介されました。
新型コロナでネット配信(YouTube)されています。
「大鹿歌舞伎」は、国の重要無形民族文化財に指定されています。
鮮やかな衣装と独特の所作が特徴です。
名古屋長野県人会にも大鹿村出身の会員の方がいて北支部事務局で活躍中です。
長野県大鹿村は、平安時代から荘園として開発されており、大河原鹿塩という所領の名で「吾妻鏡」にも登場しています。
重要文化財に指定されている長野県最古の木造建築である福徳寺薬師堂にそのその歴史の古さが象徴されています。
隔絶されたかに見える山間地ですが、古道を通じて都の文化がこの村にも入っていたことが伺われます。
また、伊那谷は、民俗芸能の宝庫と言われるほど、多くの祭りを伝え、歌舞伎・人形芝居などが盛んな地域であり、各地に舞台も多く建てられ、三味線を弾き、浄瑠璃を語る人々も多かったといわれています。
大鹿歌舞伎が受け継がれてきた背景には、こうした村の人々の歌舞伎に対する愛着の土壌が豊かに育っていたことが挙げられます。
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