「私、小平奈緒は、今年10月の全日本距離別選手権の500メートルを競技人生のラストレースとすることを決意しました」。会見冒頭で少し涙を浮かべ、10秒間の沈黙を経てやや言葉を詰まらせながら話し始めた。地元でのレースを最後の舞台に選んだ小平。会見で最も印象的だった。お疲れ様。ご苦労様。
引退表明の会見に、ぐっと来た方も多いでしょう。
信濃毎日新聞は、彼女の頑張る姿を追い続けてきました。
◎小平奈緒、引退表明会見 印象的な「地域」という言葉 自分に正直に生きることに気付いたきっかけとは
◎小平奈緒の軌跡〜平昌「金」、李相花との友情、台風被災地でボランティア… 記者が見た素顔
生まれ育った茅野市で技術を磨き、伊那市の高校に進み、松本市の病院の支援を受けて長野市を拠点に世界で活躍し続けた。10月で引退することを表明したスピードスケートの小平奈緒選手(35)。被災地でのボランティアに参加するなど他人思いの優しい人柄で知られ、2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪ではレース直後にライバルで盟友の元韓国代表、李相花(イサンファ)さんと抱き合った姿が感動を呼んだ。
4度の五輪に出場したスピードスケートの金メダリストで茅野市出身の小平奈緒(35)が12日、引退を表明した。小平選手の名前が登場したのは小学校5年生だった1996年。五輪初出場となったバンクーバー大会から北京大会までの軌跡を掲載した記事から振り返る。
「追いかけられる立場なのに、何かを追いかけている雰囲気が常にあった」。10月で競技生活に区切りをつけるスピードスケートの小平奈緒さんについて大相撲の御嶽海関がコメントしていた。さすが、大関の言葉は核心を突いている。
小平さんは23歳で初めて500メートルの日本記録を出した。37秒50。現在の日本記録は36秒47。これは32歳の小平さんだ。「生まれ持った体をスケートを通じて面白く使いこなすのが楽しい」。追われるのではなく、極みを追い続けてきた。
五輪の金メダリストになった時に「メダルを通してどういう人生を生きていくかが大事」と言った。
その肩書は重荷にもなり、出会いを広げてもくれた。