去年の台風19号からまもなく1年になるのを前に、被災した長野市の寺で犠牲者を追悼し復興を祈る法要が営まれました。
法要は、去年10月の台風19号の豪雨災害で千曲川の堤防が決壊して浸水し、大きな被害を受けた長野市の妙笑寺で災害から1年になるのを前に被災者が気持ちを整理する場を設けようと営まれました。15人の僧侶たちが読経するなか、地元の代表などが焼香して犠牲者を悼み、復興への気持ちを新たにしていました。
法要では、新型コロナウイルスの感染防止対策として、本堂の外にも焼香台が設けられ、多くの人たちが列をつくっていました。寺の門の前ではボランティアによる炊き出しも行われ、新型ウイルスで催しの中止が相次ぐなか、地元の人たちが久しぶりの再会を喜ぶ姿も見られました。決壊した堤防の近くに住み、自宅が被災したという36歳の女性は、「当時は子供たちにも大きなストレスがかかっていましたが、ことし7月に自宅の改修も終わり、きょうは楽しそうな姿を見ることができてよかったです」と話していました。また、自宅や経営するりんご農園が被災したという38歳の男性は、「本当に大変な1年でしたが、気持ちの整理ができました。もとの生活に戻るのは難しいですが、新たなスタートと思い、前に進みたいです」と話していました。
信州 NEWS WEB
NHK長野放送局 2020年 10月04日 16時56分配信分から。
昨年十月の台風19号で決壊した千曲川の堤防に近い長野市津野の妙笑寺で四日、犠牲者の追悼と復興を祈願する法要が営まれた。被災者ら四百五十人が参列し、犠牲者をしのび、復興への思いを強くした。同寺で台風19号の犠牲者を追悼するのは初めて。
法要では、被災当初に寺の泥だしを手伝った曹洞宗長野県第一青年会の僧侶らが約一時間にわたって読経した。県内外の犠牲者を追悼し、浸水被害の大きかった同市長沼地区や全国の被災地の復興を祈った。参列した地域の被災者らも焼香した。
読経した青年会事務局長(39)は「被災者が被災前の生活に早く戻れるようにと思いを込めた」。自宅が全壊し、リンゴ畑も浸水した農家(38)は、法要に参列し「子どもたちが安心して暮らせる長沼になるよう祈った」と話した。
2020年10月5日 05時00分 (10月5日 12時18分更新) 中日新聞WEB会員限定記事から。