長野県阿智村智里の信濃比叡広拯院で2月11日、厄除けと無病息災、招福を祈願する火渡り護摩「大火生三昧(だいかしょうざんまい)」が行われました。
新型コロナウイルス感染拡大のため制限していた一般の参加者も、3年ぶりに受け付け、通常開催となりました。
火渡り護摩は天台宗の荒行で、広拯院で行われます。
開祖の最澄上人とのつながりをアピールしようと、奉賛会と昼神温泉郷の旅館などでつくる実行委員会が建国記念日に合わせて行っています。
うず高く積んだスギの葉に点火した後、勢い良く炎が立ち上ると、村内外から寄せられたお札や護摩木を投げ入れました。
燃え尽きたおきを平らにならし、塩で清めると、熱さの残るおきの上を気合を入れて渡ります。厄年の人に続いて観光客や住民も続き、厄除けや無病息災を願いました。
火生三昧(かしょうざんまい)(火渡り護摩)は、天台修験最大の修行であり、あらゆる災難を除き、諸願を叶えて福を招くものです。
長野県阿智村園原の信濃比叡広拯院で毎年2月11日に行われ、炎を上げて護摩木などを焚いた後、燠(おき)の上を僧や一般の人々が裸足で歩き、招福を願います。
信濃比叡広拯院の由来として、伝教大師(最澄)が弘仁8(817)年、東国への布教のため東山道の神坂峠を越え、美濃側に広済院、信濃側に広拯院という布施屋を建てたといわれています(叡山大師伝)。天台宗本山の比叡山から、平成12年に信濃比叡の称号を授かっています。
この行事の原点となっている修験道は、日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられた日本独特の宗教。自然は美しいだけでなく、過酷な姿をあらわすこともあります。深山幽谷の厳しさに対面し、自然界への想い、自然への畏怖の感情を育み、衆生の救済を目指す道です。
自然界における人間の営みの位置づけを実感できるこの地域ならではの、ひとときです。