長野県木曽郡王滝村の御嶽山王滝口登山道沿いにある御嶽神社田の原遥拝(ようはい)所の休憩所の壁に、御嶽山の登山道を整えた行者2人を描いた鏝絵(こてえ)が姿を現した。モルタルを盛り、鏝で凹凸を付けて色を塗り、縦3メートル、横8メートルの大きさ。参拝者や登山者に見てもらおうと、神社が休憩所の改修に合わせ、同郡木曽町のデザイナー(45)に制作を依頼。迫る冬を前に28日、仕上げの作業をした。
題は「御嶽山開山由緒」。右半分に黒沢口登山道(木曽町)を整えた覚明(かくめい)行者、左半分に王滝口登山道を開いた普寛(ふかん)行者を配置し、文献を基に、それぞれの御嶽山との関わりを描いた。
薬草を使った薬の作り方を地元住民に教える覚明行者や、ライチョウに導かれて岩場を上る普寛行者を表現している。
作業は昨年8月にスタート。現地は標高2千メートル余りの場所にあり、冬は雪で覆われるため、2年越しとなった。田の原遥拝所までの登山道は11月5日から冬季規制される。今年の作業はこの日で終え、来年は登拝が本格化する7月の開山祭前に若干の手直しをするという。
登山者の荷物を運ぶ「強力(ごうりき)」としても活動。各地の信者と接する中で、人々の信仰心を集める御嶽山に魅せられてきたといい、「霊山である御嶽山の歴史を大勢に伝えたかった」としている。
(信毎WEB版 2020年10月29日)