新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県が県内への帰省を「慎重に検討」するよう呼び掛ける中で始まった今年のお盆休み。県内の主要な駅や観光地では8日、帰省客や観光客の姿が見られたが、例年に比べて人出は少なめだった。帰省客らは感染対策に細心の注意を払って県内入り。帰省先でも他者との接触を避け、実家や自然の中でゆっくり過ごしたいとの声が目立った。
「迷って、両親と電話でさんざん話し合いました」。千葉県市川市の会社員男性は例年通り中野市の実家でお盆を迎えることにし、長野駅(長野市)に降り立った。心配はあったが、日々の体調管理と体温計測、消毒やマスク着用を徹底して帰省を決めた。
松本駅(松本市)では、大きな荷物を持った家族連れや登山リュックを背負った旅行者の姿も。約半年ぶりに松本市内の実家に帰省する千葉市の会社員男性は「かなり迷ったが、実家の広い部屋でゆっくり過ごすのを楽しみにしていた」とし、「周囲の目もある。あまり出掛けず家で過ごす」と話した。名古屋市内の大学に通う男性(19)は、新型コロナの影響でアルバイト先の飲食店の出勤数が減ったとし「やることがなくなった。迷ったが帰省することにした」と話していた。
北陸新幹線(長野経由)下り線の自由席乗車率は5〜15%で、100%を超えることの多い例年の連休初日に比べて極端に少ない。
県営松本空港(松本市)を出発した便の利用率は51・6%、到着した便は63・3%で、満席近くになる例年に比べると少なかった。県警交通管制センターによると、県内の高速道路に目立った渋滞はなかった。
善光寺(長野市)の仲見世通りでは食べ歩きをする観光客の姿があったが、土産物店を営む60代の男性は「例年に比べるとだいぶ少ない」。松本市の松本城管理事務所によると、夏休みに入り松本城では家族連れの姿が多くなっているが、来場者数は例年の半分くらいという。
(信毎WEB版 2020年8月9日付から)