こんなにも違う信州各地域のお盆風習について。
信州それぞれの地域に伝わるお盆の風習を訪ね歩く。
SBC信越放送が昨年放送した記事をご紹介します。
お盆は、先祖をあの世からこの世に迎え、共に過ごす期間。全国各地で行われる風習ですが、信州においても、場所が変われば、かたちも様々です。今回はその違いを探ります。
迎え火と送り火にカンバ(白樺の樹皮)を焚きますが、これは長野市など北信地域で多く見られます。その際、歌をうたう、または念仏を唱える家があります。その文言も様々。信州の多様性を実感します。
須坂市では、木製の灯籠をお墓に立てる風習を受け継ぐ家を訪問。迎え盆の様子を拝見します。木灯籠を立てる理由は「ウチの墓はここですよと先祖に知らせるため」だとか。
箕輪町では、代々受け継ぐ「盆棚」を拝見。供物の下に敷く「盆ござ」は住人たちの手製です。先祖が這い上がりやすくするため、盆ござの丈は長いほど良いといいます。さらに、ミソハギという植物で盆だなに水をかけます。その理由を聞いて驚きます。「先祖は土の中から出て喉が渇くから水をあげる」のだそうです。
茅野市では、枝豆をすりつぶして餅にかけて食べる「のたもち」と、「灯籠車」を引いて墓参りをする風習に迫ります。
長野市の西部に広がる通称「西山地区」を訪ねると4世代の大家族がお盆を迎える準備をしていた。子どもたちがナスとキュウリで精霊馬を作り、台所では天ぷらや西山地区ならではの「えご」を準備していた。お盆料理で賑やかな食卓を囲んで、思い出話に花が咲く。
山ノ内町にはナスを丸ごとひとつ包む大きなおやきがある。初物をご先祖様にも味わってもらおうという想いが込められているという。
信州のお盆の定番である天ぷらも、地域によってはビスケットやまんじゅうを揚げるなど様々だ。それぞれの地域でかけがえのないお盆のご馳走として今に伝わっている。
盆棚の飾り方も地域によって違いがあった。飯田市では、昔ながらの風習を大切に守っている夫婦に出会う。盆棚に、ススキの葉で編んだ手作りのゴザを敷くという。
他にも中信地方に伝わる、まんじゅうを海苔で巻いた「のりまん」や、長野市篠ノ井のうずまき模様の「かりんとう」など、特色あるお供え物も登場する。
盆飾り
写真提供:SBC信越放送