長野県は17日の新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、社会経済活動を段階的に再開するロードマップ(行程表)を一部修正した上で19日から第2段階に移行すると決めた。県外地域との往来については、新規感染者の確認が多い東京都への往来は引き続き「慎重な対応」を呼び掛けるが、他の道府県は予定通り「原則として自由」に切り替える。
長野県は現在、首都圏4都県と北海道、福岡県への往来を慎重に対応するよう呼び掛けている。行程表が定める19日〜7月9日の第2段階「県内需要拡大・交流展開期」では5道県の呼び掛けを解除し、東京都との往来のみ「慎重な対応」を継続する。政府や東京都は計画通り19日に都道府県間の往来を解禁する方針だが、長野県は独自に注意を促す。
県は、都内への訪問は慎重に判断し、訪れる際はできる限り人混みを避けるといった行動を求める。混雑する列車の利用が避けられない場合などは「マスクを着用し、少しでもすいている場所に立つなど、なるべく感染リスクを下げるよう心掛けてほしい」とする。
ただ、「県外の人に長野県への来訪を慎重にするよう求めるわけではない」とも説明。都内からも含め県内へ帰省する際などは、人との距離を確保するといった県民向けと同様の呼び掛けにとどめる。
県の集計によると、東京都の人口10万人当たり新規感染者数は、16日までの1週間で全国最多の1・51人だった。県は「1人」を上回る都道府県への往来に対して県民に注意を呼び掛けるとしている。
県の19日以降の対応はこの他、開催できるイベントの基準を予定通り緩和し、参加者千人までの規模も条件付きで認める。屋内でのイベントは参加者を収容定員の50%以内にし、屋外は参加者間で十分な間隔を取ることを引き続き求める。
(2020年6月18日 信濃毎日新聞WEB版)
新型コロナウイルス対策で、政府が都道府県境をまたぐ移動の自粛要請を全面的に解除した19日、長野市の長野駅では、久しぶりの帰省で再会を喜び合う家族連れなどの姿が見られた。全国でも新幹線や空の便に人出が戻り始め、テーマパークなど観光施設も相次ぎ再開。一方、長野県は、新規感染者の確認が多い東京都への往来は引き続き「慎重な対応」を呼び掛ける。
長野駅で19日、北陸新幹線(長野経由)を降りた東京都の会社員(36)は、家族4人で妻の実家のある新潟県に向かう予定。「新型コロナが再び流行すれば、次はいつ帰って来られるか分からない」と帰省を決めた。静岡県から訪れた女子大学生(22)は、志望企業の採用面接に臨むといい、「新幹線などでの移動は正直まだ怖いけれど、ウェブ面接では緊張感や熱意が伝わりにくいので、対面の方がいい」と話した。
東京駅の東海道新幹線ホームでは19日朝、閑散としていた自粛期間とは打って変わって乗車待ちの列ができた。切符売り場は飛沫(ひまつ)を避けるビニールカーテンを設置。改札口では駅員が、切符投入口やICカードの触れる部分を、アルコール消毒液を染み込ませた布で拭いていた。
(6月19日)