新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、疫病から人々を守るという妖怪「アマビエ」が、会員制交流サイト(SNS)を中心に注目されている。飯田市箕瀬町の老舗水引会社「大橋丹治」は、職人が水引で立体と平面のアマビエを作り、一日も早い終息を願う。
水引細工のアマビエは、ピンクや黄緑のきれいな色が目を引く。立体が高さ八・五センチ、幅七・五センチ、厚さ五センチ。平面が高さ一二・五センチ、幅十センチ。基本のあわじ結びをベースに、抱きあわじ結び、亀結び、松結びを応用し、立体を二日間、平面を一日間で仕上げた。
アマビエは江戸時代に海から現れた半人半魚の妖怪で、疫病が流行した際に絵に描いて人々に見せると収まると伝わる。SNSで投稿が相次ぐ一方、厚生労働省もイラストに「知らないうちに、拡めちゃうから」という言葉を添え、若者向けの啓発に使っている。
同社では店頭に飾り、SNSでも発信。五代目(43)は「水を引いた後はすがすがしくなることから、水引には物事を浄化して清め、邪気を払う力があるといわれる。水引細工のアマビエにコロナ退散の願いを込めた。皆さんも作ってみては」と話した。
出典:中日新聞 長野南信版 2020年4月15日付